:日経新春杯に係る予想*2




現代人は他人のうわさをするのが好きである。うわさをして楽しむ技術は、おどろくほど発達した。 武田泰淳『しろうと批評とは何か』

 最大の焦点は、有馬記念2着のアドマイヤモナークの取捨だ。




 まず、ローテーションについて考えてみる。過去5年で馬券圏内に来た馬を見てみると、前走がG1だった馬が2頭、G2が0頭、G3が2頭、OP特別が4頭、1600万条件が6頭と、OP特別や条件戦を使った馬が強いことがわかる。まあ、ハンデもあるのだろうが、1600万で負けた馬も、ここで通用しているのは面白い。有馬記念からの参戦では、99年のメジロブライトや01年のステイゴールドの優勝例があるけれども、前走がG1でトップハンデの場合、中途半端な斤量よりも酷量を背負ったほうが、逆に信頼できるメジロブライト59.5キロ、ステイゴールド58.5キロ)。逆に、07年のアドマイヤフジ57.5キロ(6着)や06年のインティライミ56.5キロ(3着)、05年ナリタセンチュリー58キロ(9着)、98年メジロドーベル牡馬換算58キロ(8着)は、いずれも1番人気で負けた。要するに、58キロまでのハンデで1番人気になった、前走がG1だった馬の信用度は決して高くない




 良好な馬場状態を保っていた京都競馬場であるが、先週の日曜日ぐらいからやや時計がかかり始めた。今週の馬場状態がどうなっているのか、土曜日のレースを注視する必要があるけれども、緩やかに時計がかかり始めている最近の傾向からすると、先週と同等、もしくはそれよりも時計を要す馬場という認識でいいだろう。また、開幕週から妙に内側の伸びてくるイメージがある。タマモサポートアントニオバローズは当然として、北野特別のプリンセストロイ、許波多特別のドリームキューブ、寿Sのチョウサンデイ、新春Sのスペルバインドなど、悉く最内に進路をとった。やや外を通ったのはニホンピロレガーロ、リクエストソングだが、外というほどの外ではなく、更に外を通った馬は全くと言っていいほど伸びていない




 以上のローテーション、馬場状態からアドマイヤモナークナムラマースあたりはかなり疑わしい。モナークは連下の評価が妥当だ。ナムラマースは、日本ダービーの折、対抗格まで評価した馬であった。しかし、1800m戦で2ハロン目が10.4秒という超ハイペースになった鳴尾記念に限っては、展開が嵌ったという表現はぴったり。あのレースにおいては、トウショウシロッコフサイチアウステルを評価すべきであって、ナムラマースやドリームガードナーはただ前が潰れ、おのずと浮上したという印象が非常に強い。しかも、ハンデ56キロはかなり見込まれた感がある。




 ここから消去法ではなく、注目馬を抽出していきたい。まず、マキハタサイボーグ。何とも掴みどころのない馬ではあるが、5勝のうち3勝が京都の2400m。ただ、時計勝負になると辛い面があるため、今の馬場状態は向く。ステイヤーズSを勝ったことで、別定のG2で58キロ、ハンデ戦でも56キロを背負ってきたが、ここは55キロになった。昨年のこのレースは大敗したが、一昨年は1600万条件の身でありながら、0.3秒差の5着に食い下がった。同じ舞台で好メンバーが揃う京都大賞典にも2回出走し、いずれも勝ち馬から0.7秒と言うほど負けていない。逃げたり、まくったりと戦法もまた掴みどころがないが、幸は京都大賞典で3-3-3-3という競馬をしている。今の馬場状態を鑑みると、一番よい戦法。前進あるのみ。




 既述したように、条件馬の台頭が目覚しいレースであるから、それらの取捨をしていきたい。ここでもそこそこの人気になるであろうタガノエルシコだが、この馬に対しては懐疑的だ。まず、1000万を勝ったばかりで、1600万のレースを1度も経験していない。前走条件レースを使った馬で馬券対象になったのは、いずれも1600万条件を使っている。したがって、1000万に勝ったばかり馬よりも、1600万で勝ち負けしていた馬のほうを選びたい。ホワイトピルグリムもそう。1600万での力関係は未知数だ。そこでオリオンSの勝ち馬ドリームフライト、元町Sの勝ち馬ヒカルカザブエの2騎には当然注目。甲乙をつけるならば、オリオンS組が好走をしている点、前々で競馬を出来る点、斤量的に1キロ恵まれたドリームフライトのほうを上とみたい。




 他にもホッコーパドゥシャあたりは気にはなるけれども、点数的にこれぐらいが限度だろう。