:2.微かな光?




現在が堪えがたいからといって、希望のない者には改善など思いがけないことだ 椎名麟三『深夜の酒宴』


覚醒した種牡馬たち

スペシャルウィーク

 結果は惨敗だったが、その中でも収穫らしきものを掴んだので以下に記したい。種牡馬で言うなら、以前からその能力を高く評価しているスペシャルウィークである。昨年度、つまりフローテーション世代は産駒数66頭と、他のSS直系種牡馬の中にあって、厳しい状態に陥っていたが、今年度はシーザリオインティライミ世代の元年であって、巷でも「スペシャルウィークの当たり年」という前評判であった。そして、ブエナビスタリーチザクラウンはその評判に違わぬ活躍を示した。逆に、ここまで牝馬のクオリティーがアップして成績が残せなかったら、それはそれで種牡馬としてのスペシャルウィークの能力を疑うことになったし、一方で、繁殖の質が上がれば、結果が残せるのがSS直系種牡馬の特徴である確信を得たから、「当たり」を引きたくば、単純に産駒の数ってことになる。マンハッタンカフェ産駒が一機にブレイクしたり、ネオユニヴァースも大物を輩出したりと、昨年も記したように、決してアグネスタキオンの天下になるとは思っていない。って何様やねん。




グラスワンダー

 次にグラスワンダーの覚醒だ。ようやく目覚めた。昨年のこの時期においては、グラスワンダー産駒をチョイスすること自体、やや強引な風潮があった。産駒の数もジリ貧傾向にあったし、活躍馬の代表であるサクラメガワンダーオースミグラスワンはG3までというイメージだったから。しかしながら、いつか大物を輩出するんじゃなかろうかと考えており、個人的な期待値を含めて、ドリームハッチ(母ナイストレビアン、兄ゴールデンダリア)を2位に指名。一時期は未勝利戦で単勝100倍以上のオッズをつけており、なんしか、完全に諦めムードだったが、休みを挟んでまさに「覚醒」し、何とかダートで2勝をマーク。ヘタレに馬鹿にされたセレクトであったが、何とか格好はつけた。したがって、昨年秋のスクリーンヒーローセイウンワンダーの活躍は大いに勇気づけられた。現役時代がそうであったように、スペシャルウィークの体形がスマートだったのに対し、グラスワンダーはゴツくて、素人目にもパワーがありそうな感じ。既述の馬たちも馬っぷりという点に関しては、競馬界の中でもかなり上位に入る。今年度デビューの産駒は129頭と揃っているし、傾向として若い牝馬から活躍馬が出ているから、その辺りを考慮し、今シーズンも慎重かつ大胆に選んでいきたい。