:菊花賞に係る覚書




恐るべき体験は、それを体験する者が何か恐るべきものでないかどうか、という憶測をさせる。 ニーチェ善悪の彼岸


今回は徹底的に消去法を採用した。なお、除外対象馬となる1350万以下の馬は考慮していない。



トライアンフマーチという1勝馬

 1勝馬の出走は菊花賞ともなると珍しいが、以下のような馬が挙げられる。シックスセンスをもってしても、馬券内に絡めなかったのは記憶に新しいところ。



前走、非重賞を使った条件馬たち

 過去10年、30頭の中で、上記の条件で来たのは、04年デルタブルース(8番人気1着)と01年マイネルデスポット(11番人気2着)の2頭である。意外に少ない。これが、「前走、重賞を使った条件馬」になると、オウケンブルースリナムラクレセントオペラシチーとなる。つまり、30頭中6頭が条件の身で圏内まで来ていることになる。さて、デルタとデスポットを拾い、その他を捨てる場合は、「前走4着以下だった馬、もしくは勝ち馬から0.4秒以上負けた馬」とすれば、以下の馬を消すことができる。

  • キタサンチーフ
  • ヤマニンウイスカー

ウイスカーはちょっと狙ってみたかったが、さすがに前走は負けすぎの感。



前走ダート、牝馬、いずれも台頭の余地なし



前走大敗馬

 08年フローテーション2着(神戸新聞杯12着1.2秒)、05年アドマイヤジャパン2着(神戸新聞杯5着1.5秒)、02年ファストタテヤマ札幌記念13着1.5秒)をモノサシにすると、勝ち馬から1.6秒以上離された馬が突っ込んでくることはなさそう。

 アントニオバローズは気になる1頭ではあるものの、ノドというデリケートな部分の炎症であり、積極的に買うことはできない。見送り。



皐月賞NHKマイル)>ダービー

 3000mの菊花賞にあっては、皐月賞で好走しても、ダービーで惨敗したらやはり距離適性や気性を疑ってかかる必要がある。


 今年のダービーはああいう馬場だったからタイム差ではなかなかわかりにくいところがある。そこで単純に着順で取捨し、11着以降の馬を消す。

 アンライバルド神戸新聞杯でもかなり行きたがっていた。明らかに菊花賞向きではなさそう。父ネオユニヴァースも距離に限界のあったタイプ。ここは軽視。一方、セイウンワンダーの陣営は神戸新聞杯で目処はついたという認識だが、だったらリーチザクラウンを交わせれた(逆に離されたしねww)。2歳チャンプがそれ以後勝ち星がなく、菊花賞で見せ場を作ったのは、小生の記憶に関する限り、86年のゴールドシチー(2着)まで遡らなくてはならない。ブレイクランアウトは悩ましい存在だったが、どうみても菊花賞向きの血統構成じゃない。1番人気のリーチが逃げる今年は、消耗戦になる可能性が高い。



条件(2勝)馬の権利取り

 1000万条件の身でトライアルで権利取りした馬はざっと以下である。偶然だが、すべてセントライト記念3着馬。

 エアグルーヴの仔フォゲッタブルもここでは苦戦が濃厚。



次からはもう適当だわ。



デビュー大敗

 超大型馬アルナスライン(11着)以外は、デビュー戦においてもそれなりに格好をつけている。イコピコ(15着)は1800mという適鞍で大敗しているのが過去に例がない。



未勝利脱出遅すぎ

 ヒシミラクルが10戦目で未勝利脱出。ロードアイアンはそれを上回る11戦。



残った面々

50音順に、

 の5頭。更に、検証を進める。皐月賞、ダービーにいずれも出走した馬を:◎、皐月賞・ダービーいずれかに出走した馬を:○、いずれも出走していない馬を:×とする。そして、◎を2pts、○を1pts、×を0ptsとする。さらに、皐月賞馬もダービー馬も出走した場合を☆、皐月賞馬、もしくはダービー馬が出走した場合は△、いずれも出走していない場合は■とする。

 ☆=4.4pts、△=2.0pts、■=1.7ptsである。ダービー馬不在の今年は、2.0pts前後で推移するはずで、すると、皐月、ダービー未出走の馬が台頭してくる可能性が高い。


暫定結論


 アドマイヤメジャーは自信の本命だ。ゆくゆくは重賞の1つや2つ獲れる能力のある馬。それが菊花賞になってもおかしくない。セントライト記念は不完全燃焼だった。あの位置から大外にブン回して差し切るのは、かなり厳しい。本番は川田が騎乗予定で、セントライトほど後ろにはならなさそう。おそらく三田特別のようなイメージで行くだろう。1600万条件ではあるものの、他の1000万を勝ちあがった馬と違う点は、7月上旬の阪神開催で楽勝している点だ。ロードアイアンは中央開催だというものの、9月の下旬。ヤマニンウイスカーは6月開催だったが、札幌のいわば裏開催。ポルカマズルカは8月の札幌。スリーロールス阪神開催もアイアンと同じく9月下旬。キタサンチーフも同じ。つまり、まだ古馬との差があるとされる上半期の中央開催で、あっさり下しているのだから、能力は高い。また、かかる心配もレースを見る限りなさそうである。ダービー馬不在となると、未出走組が絡んでくるデータもこの馬を後押し。


 シェーンヴァルトも潜在能力は高いんだけどね。どうしても走り方がああいう感じで頭が高いし、他力本願のところもあるからね。ただ、皐月賞、ダービーいずれも良績を残したのは、この馬の他にいないし、直線に坂がないほうがいいかもしれない。神戸新聞杯ではヘタレ秋山が内に進路を取り、トモロポケットとアプレザンレーヴに終始挟まれる格好で、ほとんど追えなかった。はっきり行って、進路があったら突き抜けていたんじゃなかろうか?と思われる行きっぷりだった。すくなくともアンライバルドセイウンワンダーよりは距離適性はあるはずで、それこそ3度目の正直で勝ち負けまで期待する。



 結局、最大の焦点はリーチザクラウンがどういうペースで逃げるのか、そこにあると思う。アドマイヤメイン(3番人気3着)の時とは異なり、1番人気になった馬を武がブンブン飛ばしてはいかないと思うが、抑えることもしなさそう。皐月賞で失敗しているからね。一応、馬なりで逃げるという形を取ると思う。ただ、その場合、やはりペースは極端に遅くはならないはずである。リーチはテンのスピードもあるし、また他の騎手もノーマークではおれない。……まあ、このあたりは追々で。