:ディープインパクト元年に
いかに勝利をおさめるべきか――紙ひとえの差で相手を凌駕できる見込みしかないときは、勝利を得ようなどと思うべきではない。立派な勝利は、打ち負かされた者をも喜ばしい気分にさせるものでなければならない。相手に恥辱をまぬがれさせる、或る神々しさをそなていなければならない。 ニーチェ『人間的、あまりに人間的』「漂泊者とその影」より344番
新種牡馬たち
- ネオユニヴァース及びキングカメハメハの産駒がデビューした08年、
- ディープインパクトの産駒がデビューする10年の谷間にあった09年は、
- 新種牡馬不作の年と言われた。
- ところが、蓋を開けてみればゼンノロブロイの目覚しい活躍。
- 少々牝馬の質が下がっても、SS産駒の底力と適性の高さを見せ付けられた印象だ。
- ディープインパクトは失敗の許されない至宝であるし、失敗させないだけの名牝を集結させた。
- 小生は例年、新種牡馬は1頭と決めているけれども、
- それに固執していたら早晩「負け組」になってしまうだろう。
- ルール変更に伴い、12頭チョイスになった今年は、
- ディープを複数頭、
- ハーツクライとその他の新種牡馬を1頭チョイスするのが新基準になりそうだ。
既存の種牡馬たち
- ただ、そうはいうものの、
- 既存の種牡馬たちはある程度、産駒の傾向が示されているだけに選択しやすい。
- やはり、新種牡馬はある種冒険だ。
- ネオユニヴァースやキングカメハメハはもちろんだが、
- 小生が種牡馬として高く評価しているスペシャルウィークも完全に軌道に乗った感。
- 一方で、今年デビューの産駒を多く持つタニノギムレットとジャングルポケットの
- いわゆる非サンデー系の種牡馬の取り扱いは非常に難しい。
- 今年はそれぞれ161頭、160頭(『ギャロップ増刊号』)がスタンバイ。
- ジャングルポケットの一流馬は、意外と成長曲線がゆっくりしている印象。
- オウケンブルースリにしてもジャガーメイルにしてもそう。
- タスカータソルテも古馬になってよくなってきた。
- 対するタニノギムレットは、ブライアンズタイムの流れを汲む一発長打型。
- というか、ウォッカしかいないのだけれども。
- スマイルジャックやヒラボクロイヤルを「一発」にするのは双方にとって可愛そうだ。
- したがって、この2頭については自重する。
- 変わって小生が今年特に期待している種牡馬はシンボリクリスエスだ。
- いつまでも「スペシャルウィーク」とは言ってられないしね。
- 産駒の頭数は116頭とデビュー以来最低だが、良さそうな馬はいる。
- クリスエスの直仔、例えば、ブリーダーズCターフの勝ち馬プライズドや、
- イギリスダービーのクリスキンは、種牡馬としてまだ成功した部類には入っていないが、
- シンボリクリスエスが見せたパフォーマンスは、
- 全盛期のゼンノロブロイが10回戦って1〜2回勝てるか勝てないかくらいの圧倒的なものだった。
- ペリエは、シンボリクリスエスを90年代欧州最強馬パントレセレブルと同格に見なしている。
- 飛躍の年になるか?