:我が生命線その1――何を集結させ、何を分散させるか
- 上記5つの要素はいわばミクロの視点。
- これらはそれぞれ極めて大切な要素なのだが、
- 「全体的なバランス」という大局的見地、すなわちマクロの視点を忘れてしまうと、
- 偏りの著しいラインアップになってしまう。
- 上で述べた①価格、②血統、③厩舎、④馬主、⑤生産牧場の5つの要素なんて、
- 良いに越したことないに決まっている。
- また、情報も10年前と比較にならないほど精度が上がってきている。
- そういう意味で、以下に述べる視点が他のメンバーと差別化できると僕が考える“唯一の方法”であるし、
- 僕にとっての“生命線”であるといって差し支えない。
関東馬と関西馬
- 例えば、関東馬と関西馬の割合。
- 今年は桜花賞(アユサン)、
- 皐月賞(ロゴタイプ)、
- 天皇賞春(フェノーメノ)、
- NHKマイルC(マイネルホウオウ)と関東馬がめちゃくちゃ気張って、
- 長く続いている「西高東低」に待ったをかけた感がある。
- もしかしたら、いよいよポリトラックの効果が出始めたんじゃないかとも勘ぐってしまうが、
- 純粋に勝ち星という観点で見れば、
- 先週までの段階で、
- 1位=角居勝彦(関西)、
- 2位=池江泰寿(関西)、
- 3位=矢作芳人(関西)、
- 4位=藤原英昭(関西)、
- 5位=堀宣行(関東)と10傑の中に関東のトレーナーは堀、国枝栄、田村康仁の3人だ。
- 昨年はトップ10に2人、すなわち、藤澤和雄(3位)、堀(8位)だけ。
- ビックレースはインパクトは大きいが、「西高東低」はいまだ健在!!
- POGはまず勝ち上がってくれなければどうしようもないゲーム。
- 大レースにも勝ちつつ、勝ち星も伸ばしている厩舎はごく限られる。
- したがって、チョイスする馬は関西馬に集結させたほうがベター。
- 僕は12頭のうち、2〜4頭を関東馬、
- 残りを関西馬としている――どんなに関東所属馬に気になる馬がいても、である。
- 「ポリシーがない」と批判されるかもしれないが、
- 成績を考慮すればそれぐらいの制約を自分に課さないと大敗する可能性がある。
- このバランス感覚はチョ〜重要。
マクロ的調教師&馬主論
- さっき僕は「大レースに勝ちつつ、勝ち星も伸ばしている厩舎はごく限られる」と記した。
- これは確かな事実なのだけれども、
- だからと言ってひとつの厩舎に指名馬を集結させることはリスクが高く、
- できるだけ分散させたほうがいいというのが僕の考え方だ。
- ランキング上位の調教師は例年、安定した成績を残しているが、
- ある1年だけ極端に落ち込むこともしばしばあるし、
- 落ち込んだきり二度と浮上してこない調教師も稀にいる。
- 厩舎経営の浮き沈みの激しさを物語る事象。
- 毎年、超良血馬が入厩する角居勝彦を例にとってみよう。
- 昨年度はロジユニヴァース(ダービー)の弟トーセンパワフルを筆頭に、
- キャプテントゥーレ(皐月賞)の弟リジェネレーション、
- ヴィクトワールピサ(ドバイWC、有馬記念他)の妹アスタラビクトリア、
- ウォータクティクス(アンタレスS)の弟ハッピーモーメント、
- ディアデラノビア(フローラS、オークス3着)の妹バリローチェ、
- 更にはそのディアデラノビア(既出)の仔ディアデラマドレなど、
- どれもクラシックに乗ってきそうな血統的背景を持った馬だらけだったが、
- 結局、実際に牡馬クラシックに出走できたのは、
- シーザリオ(日米オークス)の仔エピファネイア(ラジオNIKKEI杯、皐月賞2着)だけだった。
- 「だけだった」と言ったが、
- 1頭出走させるだけでも難関中の難関なのは説明を必要としない。
- つまり、どんなに有力な厩舎でも、クラシックに参戦できるのは1頭がせいぜいで、
- ましてや勝ち負けまで期待できる馬などそうそう出てこない。
- 関東馬と関西馬は敢えて偏りを持たせるのだが、
- 他方、12頭の厩舎は極力分散させたほうが「吉」、と僕は考えている。
- 馬主についても同じ。
- 毎年当然ばらつきはあるものの、
- 社台系レーシングクラブ、キャロットクラブで2頭、
- その他は1頭クラシックに出れれば及第点。
- したがって、その1頭をどう見極めるかが勝負の分かれ目。
牡馬と牝馬
- もうひとつバランスの話。牡馬と牝馬の割合である。
- 僕はPOGの目標を「ダービー」においているから、
- 牝馬をたくさん取る理由が存在しない。
- ダービーは2013年から賞金が20,000万円になり、桜花賞+オークスより大きな破壊力がある。
- すなわち、ダービーを勝った者がPOGを制することは明らかだ。
- そして、牝馬はその存在自体が大変リスキーであり、
- ちょっと頓挫すると知らないうちに繁殖へあがっているということもよくある話。
- 僕の所属するチームにおいて昨年度を例にとってみると、
- 牡馬の獲得賞金5傑の合計はダービー前の段階で58,530万円。
- 一方、牝馬のそれは12,630万円である。
- 要は、牝馬の期待値は牡馬の期待値のおよそ5分の1だ。
- (もちろん、牡馬と牝馬が同数じゃないからあくまでも目安なんだけど)
- このことから、極端に言えば牝馬を1頭も選ばないっていうのが、
- POGに勝つための最短距離なのかもしれない。
- (この仮説については、いずれ統計的アプローチを試みてみたい)
- それでもやっぱり桜花賞とオークスに1頭も出走しないとなるとやはり寂しいし、つまらない。
- 10頭チョイスでやっていた頃は牝馬は2頭までと決めていて、
- クラシックに出走できたのはピンクカメオと
- ファレノプシス(エリザベス女王杯、桜花賞他)の仔ラナンキュラス(フィリーズレビュー2着)だけであったが、
- 12頭チョイスになってからは3頭に増やした。
- その中からレッドオーヴァル(桜花賞2着)が出たのは大きな収穫だったし、今後の指針になった。
- 牝馬0頭というのは極論だけれども、
- もし牡馬と牝馬の割合がほぼ同じ、あるいは牝馬のほうが多くなっちゃったんだったら再考するのが賢明。